【感想】魔王の器

こんにちは、Momoです。
今回は、剣と魔法、異種族、謀略が絡み合う覇道ファンタジーをご紹介します。

作品概要

タイトル: 魔王の器
掲載サイト: 小説家になろう(Nコード: N4434CX)
著者: 月野文人(ID: 684819)
ジャンル: ハイファンタジー〔ファンタジー〕
文量: 1,857,848文字(完結済(全216話分))
連載期間: 2015年10月07日〜2017年11月09日

あらすじ&感想

「いっその事、殺してくれれば良いのに」
魔法を使えない落ちこぼれとして、家では名門貴族家の恥と疎まれ、帝国学院ではいじめられていたカムイはある日、追っ手から逃げる1人の魔族と出逢う。それをきっかけに、やがて大陸全土を包み込む争乱の世の幕が開ける…。

見どころ①: カムイのカリスマ

名門と呼ばれた生家で仕込まれた作法、聖女と呼ばれた母の教育によるフェミニスト精神、魔法を使えずとも戦う力を求めて弛まぬ努力を重ねた剣技、いじめと勘当を経たことによる人間性の深み。相手との関係によって何をどこまで晒すかは変わるものの、カムイと関わった人は彼に惹かれずにいられません。

仲間や味方として、または想い人として、性別問わず多くの人を魅了する天性の「人たらし」としての才は物語を通して発揮されます。読者をニヤッとさせるカムイの人たらしっぷりに注目です。

見どころ②: 帝国学院の黄金世代との関係

カムイたちと同学年には帝国上位の権力者の子息子女が揃っており、その人となりを知るためにカムイたちは実力のカケラを垣間見せて接触を図ります。結果、東西伯家の学内派閥のトップならびに側近たちとの交流が増えていき、隠された実力を暴こうと魔道師団長の娘の派閥も暗躍しはじめます。

孤児院出身のカムイたちと生粋の帝国貴族である各派閥の交流によって複雑化し、話が進むにつれて変動していく相関図は、間違いなくこの作品を面白くしている要素の1つです。

見どころ③: 人族と魔族の関係

タイトルに「魔王」と入るからには欠かせない魔族の存在。ストーリーが進むにつれて明らかになっていく、人族に虐げられる魔族の実情と、僅かな一部を除く大半の人族の間で忘れ去られた種のルーツは物語のキーであり、同時に、社会の闇や人間の悪い面に触れる要素です。

虐げられ、ひっそりと暮らしてきた魔族がその存在感を強めていくにつれて、さらに激化する大陸の争乱から目が離せません。

読みごたえ、たっぷり

今作は、政略や謀略が絡む以上、シリアスなシーンや緊張を高めるシーンもあります。しかし、カムイやその仲間が時に人をからかい、時に敵を挑発する小気味良い会話もよく挟まれていて、緩急があるため読み疲れる感じはしませんでした。

惜しむらくは最後の終わりかたで、「え?これで完結?!」と少し不完全燃焼になっている自分がいます。それでも、闘いあり!謀略あり!恋愛あり!で楽しめると自信を持ってオススメします。

なお、こちらの作品はKADOKAWAより書籍化されています。(現在3巻まで)
ttlさんが担当している書籍版のカバーイラストや挿絵がカッコよくて、毎回Momoは惚れ惚れと見ています。(これがアニメ化かコミカライズしたら飛び跳ねて喜ぶ)書籍を手に取るのが一番だと思いますが、小説家になろうの活動報告でカバーイラストやキャラクターデザインのラフが公開されているので、チラッとでも見てみてください。

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書籍版

Momoのホンネ

フィクションの世界に浸るMomoが、読み漁る小説や漫画、見る映画、ふらりと出かけた先で見つけたもの、日々の生活から感じたことをホンネで語る、気まぐれブログです。

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