【賃貸】引越し費用削減のポイント
お久しぶりです。Momoです。
関西から帰ってから転職活動がピークを迎え、その後も勉強やらFXやらソシャゲやらでバタバタとし、結局まだ京都と大阪の記事を書けていません。
もし、もしも待ってくれている方がいたらごめんなさい。落ち着いたら書きます。たぶん、きっと、Maybe…。
さて、転職を機に、大学生の時から住んでいるアパートからついに引っ越すことになりました。そんなMomoの元に、天啓のようにこのような記事の情報が流れてきました。
ざっくりと内容を説明すると、初期費用の交渉ポイントとして以下の2つを上げています。
- 鍵交換費
- 仲介手数料(+事務手数料)
関連情報を詳しく読んで見ると、初期費用のみならず、退去時の負担に関しても交渉材料として使えそうなことが書かれていました。賃貸生活を送る多くの仲間のため、補足しつつご紹介します。
省庁見解では、鍵交換費は家主が負担するもの
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)の25ページを見ると、以下のように記載があります。
●鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
(考え方)入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当と考えられる
つまり、国交省の解釈では、退去する貸借人(紛失を除く)や、ましてや新規入居者ではなく家主(賃貸人)が鍵交換費を負担するのが妥当だということです。
また、こちらのガイドラインには退去後のクリーニングや修繕費に関しての負担についても言及しており、「経過年数(入居年数)が長ければ相応の消耗もある」と言う考え方のもと、負担割合の指標を提示しています。
※契約時に特約などで明記されている場合を除く
ただし、注意しなければならないのは、当ガイドラインはあくまでも指標であり、法的拘束力はないということです。しかし、政府という権威が提示する指標なので、契約時に一定の交渉材料として機能してくれるのではないでしょうか。
仲介手数料は取引形態を見て交渉せよ
不動産取引に関する法令
不動産業に関しては宅地建物取引業法という法令で定められています。
物件情報を見ていると、家賃や管理費・共益費、敷金・礼金などの費用や、専有面積や設備などの情報が書かれていますね。その中に、必ず「取引態様」(取引形態)を明示しなければならないと定められています。
(取引態様の明示)
第三十四条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、自己が契約の当事者となつて当該売買若しくは交換を成立させるか、代理人として当該売買、交換若しくは貸借を成立させるか、又は媒介して当該売買、交換若しくは貸借を成立させるかの別(次項において「取引態様の別」という。)を明示しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない。
取引態様は3種類
詳しい取引態様の説明は第34条の2項3項に詳しく書かれています。簡単に説明すると、不動産会社の取引態様には以下の3つがあります。
- 貸主
- 代理契約
- 媒介契約(仲介)
「貸主」の場合は不動産会社と直接賃貸するため借主は仲介手数料の負担がありません。しかし、「代理契約」と「媒介契約」は物件オーナーである貸主と借主は第3者である不動産会社を介して取引することなるため、仲介手数料が発生します。
「代理契約」の場合、不動産会社とは別に、物件を所有する貸主がいて、この貸主を代理して不動産会社が取引します。貸主から代理権を得て、不動産会社は貸主と同じ立場になり、仲介手数料は貸主が負担することが多いようです。
一方、「媒介契約」つまり「仲介」の場合、賃貸契約が円滑に進むよう、不動産会社が貸主と借主の間に入り取引します。最も一般的な、物件を斡旋する取引態様です。
なぜ、取引態様について言及したかというと、それによって宅地建物取引業者(不動産会社)の報酬の条件が変わるからです。
不動産会社の報酬
宅地建物取引業法の第46条に報酬について書かれています。
(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
つまり、告示に定められた報酬は、この第46条に則り法的拘束力を持つということです。
では、今回話題にしている賃借の仲介手数料(代理契約または媒介契約の時の不動産会社の報酬)はどのように書かれているのでしょうか。
報酬については「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、平成29年12月8日国土交通省告示第1155号にて改正[平成30年1月1日施行])にて定められています。
賃貸の代理契約の報酬額
第四 貸借の代理に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の合計額が借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額を超えてはならない。
要約すると、
- 宅地建物取引業者が依頼者(貸主)から受けられる報酬は借賃1.08ヶ月分以内
- 貸借の相手(借主)から報酬を受ける場合、依頼者からの報酬と合わせて借賃1.08ヶ月分以内
賃貸の媒介契約(仲介)の報酬額
第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする。
要約すると、
- 宅地建物取引業者(不動産斡旋会社)が受けられる報酬は借賃1.08ヶ月分以内
- 賃貸借の依頼者(貸主&借主)の一方から受けられる報酬は借賃0.54ヶ月分以内。ただし、当該依頼者の承諾を得ている場合を除く
この「当該依頼者の承諾を得ている場合を除き」という記載によって、「総額が上限である借賃1.08ヶ月分以内に収まる限り、承諾を受ければ0.54ヶ月分を超えた額でも一方から報酬を受けられる」とも解釈できるため、報酬額(仲介手数料)を借主がすべて負担するのが通例化してしまっているようです。なかなか悪知恵の効く商売ですね…。
どのように交渉するか
今回、交渉の余地があるとお伝えしたいのは、「媒介契約」(仲介)と書かれた取引態様における仲介手数料です。もし1ヶ月分請求されていても、法令と告示の内容に沿って考えれば、承諾しなければ0.54ヶ月分が上限のはずです。
業務的には契約書にこちらの承諾に関する項目も含まれるはずなので、この嫌な通例を回避するには、契約書に署名捺印する前に指摘・交渉する必要があります。申し込み後は審査の後では多くの関係者に迷惑をかけることになるので、申し込み前が理想でしょう。
中には、物件の人気を盾に強気で迫ってくる会社もあると思います。しかし、賃貸検索サイトを見るとわかるように、世の中に出回っている物件の多くは複数の不動産斡旋会社が取り扱っています。彼らは、顧客に物件を紹介し、成約につなげて初めて報酬(仲介手数料)を手にすることができるのです。
どの会社にも営業目標がありますから、「他社でも契約手続きが取れる」つまり「他社に見込み客が流れる可能性がある」ということを含んだほうが、より不動産斡旋会社の努力を引き出せるのではないでしょうか。
良心的な不動産会社は、初めから仲介手数料は半額以下を提示してくれます。そんなところに当たったらラッキーです。万が一理不尽な通例を押し通そうとしてくる業者に当たってしまった場合、一度他の会社も見て、同じ物件に対して家主からどこまで良条件を引き出せるか、仲介手数料に関してどのような見積もりを出してくるかを総合的に比べて判断するのが初期費用を抑えるポイントになるでしょう。
契約はルールを知ったもの勝ち
政治的な権威によって作られたものは、法令はもちろん、ガイドラインも交渉をする材料となります。引越しの際は、ぜひ一度じっくりと調べてみてはいかがでしょうか。
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